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Gift〜神様からの贈り物〜

2000 年11月公演

GIFT

◆2000年11月3日〜7日
シアターVアカサカにて

スタッフ

【作/演出】夢野さくら
【音響】柴田道幸・高松宏成(ジョイサウンドプロモーション)
【照明】本間千鶴(ライトシップ)
【装置】奥田有美
【大道具】横尾友広
【舞台監督】赤坂有紀子
【演出助手】丹羽あおい
【宣伝美術】土屋貴司
【主催】スーパーコンプレックス
【総合企画】永愛地球基金
【協力】大阪ガス(株)兵庫事業部・FMG・マガジン企画・早川麻里奈
【制作】(株)フォロ・ミー

キャスト

  • 杉山彩子
    「岡崎未久」役
    杉山彩子
    (--)
  • 小倉昌明
    「岡崎浩司」役
    原元太仁
    (森田事務所)
  •  奈良谷優季
    「小沢美奈子」役
    鳥居しのぶ
    ((株)エンパシィ)
  • 馬場隆昭
    「小沢順平」役
    永田恵悟
    (東京デラックスセレソン)
  •  原元太仁
    「河野真希」役
    牧乃ミカ
    (THE東京ピチピチBOYS)
  • 土屋貴司
    「坂本裕一」役
    土屋貴司
    (マガジン企画)
  •  柴田直伸
    「市川 徹」役
    田中がん
    (--)
  •   田中良
    「綾小路桜子」役
    高瀬ひとみ
    (マガジン企画)
  • 池上リョヲマ
    「葉山孝則」役
    田中 良
    (--)
  • 萬 雅之
    「佐川良美」役
    久里きなこ
    (--)
  • 萬 雅之
    「佐川香奈」役
    木藤千絵
    (劇団塾)
  • 萬 雅之
    「看護婦」役
    丹羽あおい
    (マガジン企画)

ストーリー

Chapter1

喫茶「カ・ドゥー」には、毎日マスター(永田恵悟)の入れる美味しいコーヒーと、その妻で、ただいま妊娠中の美奈子(鳥居しのぶ)の笑顔目当てで、様々な常連たちが集っている。いつもカウンターで、リストラサラリーマンの徹(田中がん)と将棋を指している青年医師・孝則(田中良)や、美奈子の友人の売れない女優・岡崎未久(杉山彩子)などなど。
未久たちがコーヒーを飲んでいると、突然入り口のドアが開き、漫画家の綾小路桜子(高瀬ひとみ)が気分転換にやってくる。昔大ヒットを飛ばした桜子だったが、今は全く筆が動かない。次回作のためなど言い、編集者・坂本(土屋貴司)に突然「カ・ドゥー」でダンスを披露させるなど、無理難題をさせている。その日の夜未久は、突然夫・浩司(原元太仁)から、5年間のベトナム転勤を告げられる。今まで俺は未久のやりたい事を応援してきた、だから今度は俺の応援をしてくれないか?唐突なその言葉に揺れ動く未久。

シーン1シーン2

Comment〜舞台裏秘話

夢野さくら:前公演まで使っていたところが手狭になり、劇場を変えて公演しました。しかし!まだこの頃は(今もだけど…)劇場の大きさに合わせて芝居を書くなんて芸当は当然出来ず、そのうえ押さえた稽古場が、舞台の大きさギリギリしかないという悲惨な場所だったため、演出席から演技スペースまで1メートルもないというとんでもない状況に!劇場入りしてから、舞台と席の離れ具合に戸惑い、演出家としての未熟さを痛感しました…。

杉山彩子(主演):スパコン2回目出演の原元さん、初の二枚目役・・・。衣装も厳選して、原元さんの二枚目俳優としての魅力を200パーセント引き出しました。そして、何と言っても、スパコンが初めて銀座小劇場を出て、少し大きいシアターVアカサカに進出した記念すべき作品でもあります。観客動員数も1000人を超えて、万々歳!兎に角稽古が毎日楽しかったっけなぁ〜…。

Chapter2

桜子がいなくなったと編集者の坂上が慌てふためいてやってくる。締め切りが過ぎているのに、どこを探しても見つからないのだと。皆で探しに行こうとした矢先、桜子が悄然と現れる。もう自分はダメなのだ。小さい頃から漫画だけが自分の居場所だったけど、もう描けない。描けない自分などこの世にいる価値もない。だから死ぬのだと言い放つ。その桜子の頬に、美奈子の平手打ちが飛ぶ。「死ぬなんて簡単に言わないで下さい!」
美奈子の母は、彼女が小さい時に病気で亡くなっていた。この世には、死にたくなくても死んでしまう人がいる。幼いながらも、それが母の運命だったのだと、必死に自分に言い聞かせて生きてきた。だから生きている人は、どんなに辛くても頑張らなくてはいけない。頑張っても頑張ってもダメな時は、もっと頑張るしかない。それが生きている人の運命なんだから…。その美奈子の言葉が、固くなっていた桜子の心にゆっくりと浸透していく。

シーン3

Comment〜舞台裏秘話

夢野さくら:私自身、父を癌で亡くしてから、簡単に「死」を口にする人を「何言ってんの?!」と思ってみてました。どんなに死にたくなくても死んでしまう人がいるんだ、甘えるなって感じでしたね。でも今は、その人の苦しさはその人にしか分からないと考えるようになりました。 あと、頑張っている人に、必要以上に「頑張れ」という言葉を言ってはいけないなぁなんて事も思いますね。言われなくても頑張ってるんだもんねぇ。

杉山彩子(主演):しかしこの舞台…坂本役の土屋さんが、ダンス中に発した「武富士」の一言で、例のCMの決めポーズが振りに取り入れられた。おまけに照明にまで武富士明かりを要求した土屋先輩は(実は本当に私の高校の先輩)、そのせいで機材持ち込み費が余計にかかってしまった事を知っているのだろうか…?(笑)しかし土屋先輩のこだわりはこれだけでは終わらなかった。坂本は「月刊薔薇と湖」というマンガ雑誌の編集者という設定なのだけど、その名刺まで自分で作って来たのだ!あっぱれ!!!

Chapter3

未久と美奈子の友人、真希(牧乃ミカ)の夫が、彼女に内緒で会社を辞めていた。昔からの夢だったラーメン屋を始めると言うのだ。猛烈に反対する真希。なぜわざわざエリート商社マンの座を捨てて、ラーメン屋など…と全く認めようとしない。徹は真希に「あんたさっきから自分の事ばっかりだな。旦那の気持ちなんてどうでもいいのか?」と問い質す。
と、そこに突然の電話。美奈子の5歳になる子供が、交通事故に遭ったというのだ! あまりの事に倒れこむ美奈子。実は美奈子は心臓に持病を抱えていた。孝則の病院に緊急手術のため搬送される美奈子だったが、担当医である孝則の父が、学会出席のためいなかった!「あんたがやるんだ」と孝則に詰め寄る徹。絶対に無理だと突き放す孝則だったが、「あんたがやらないで誰がやるんだ?!あんたに足りないのは技術じゃない!一歩前に足を踏み出す勇気なんだよ!」という言葉に背中を押され、手術室に入っていく。

シーン4

Comment〜舞台裏秘話

夢野さくら:徹さんのここのセリフを考えている時、どうにも詰まっちゃって、一先ず書くのをやめて買い物に行ったんですね。すると買い物に行く途中、突然振って沸いたようにセリフが出て来る出て来る!1人でブツブツ言いながら道を歩いてました。そのうえ自分で気持ち入れて喋っちゃって(元女優なもんで…)感極まって、ちょっと涙ぐんじゃいました。思いっきりバカですよねぇ!そんな状態の自分に気付いた時、物凄く恥ずかしかったです…。

杉山彩子(主演):この孝則先生のシーンは、本当に何度も何度も稽古した気がする。何たってこのシーンには、超度級の真面目なあおいちゃん(看護婦役)が出ていたからだ。彼女はこのシーンしか出ていなかったんだけど、体育会系のノリで、何度も何度も「もう一度お願いします!」を連発し、繰り返し一生懸命稽古していた。 それにしても、二枚目役の田中良(孝則先生役)っていうのも初めて見たなぁ…。

Chapter4

美奈子の手術中、待合室で2人きりになる未久と浩司。未久は仕事を辞め、浩司に付いて行くと告げる。すると浩司は1人で行く事に決めたと言い出す。なぜなのかとの問いに、自分が好きな未久は、仕事を一生懸命やっている姿なのだ。その未久を連れて行ったなら、自分も未久もきっと後悔する。だったら距離は遠くなるけれど、相手の気持ちを大切にしたいという気持ちを持ったまま、今自分たちは、一時別の道を進んだ方がいい…。
手術も無事終わり、浩司が1人でベトナムに向ったその日、未久・美奈子・真希の3人は、これから生きていく道について静かに語り合う。未久は女優の道を、美奈子は新しく生まれてきた子供の事を、真希は夫と共にやっていくラーメン屋の事…。
いろんな事があったね。しかしそれも乗り越えた今、もしかしたらって思うの。この数ヶ月は、神様から贈られた、大切な宝物なのかもしれないと…。

シーン5

Comment〜舞台裏秘話

夢野さくら:ラストシーンで、綾小路先生の最新作が載っている雑誌を皆で見るところがあります。この雑誌の表紙、本当に良く出来てたんですよ!雑誌なので、綾小路先生以外の人の作品名もちゃんと載ってました。それから昔の綾小路先生の大ヒット作の単行本も、メチャクチャ良い出来でした。表紙をめくったところには、綾小路先生の写真と今までの経歴が書いてあって、主な作品名まで載ってるんです!これには本当に感心しましたぁ。

杉山彩子(主演):それにしても、この作品の原元さんはかっこよかった。台詞が長くて苦戦していたけれど、そのスーツ姿の似合うこと似合うこと…。土屋先輩なんか、「俺って原兄(原元さん)の引き立て役みたい…」と、同じくスーツを着て冗談を飛ばしていた。ははは。 でも、きっと原元さんはきつかっただろうなぁ。だって二枚目になるために、夢野さんから「痩せろ!」との指令を出されていたのだからね。

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